iDeCo vs 新NISA、どちらを優先すべきか(私の場合はiDeCoじゃなく企業型DCですけどね)

「iDeCoと新NISA、どちらを優先すればいいですか?」

よく見かける質問です。20年やってきた自分なりの答えを、先に言ってしまいます。今から始めるなら、新NISAが先。 確定拠出年金は、無理にがんばらなくていい”おまけ”くらいの位置づけでいい、と思っています。

ただ、ひとつことわりを。自分が使っているのはiDeCoではなく、企業型確定拠出年金(企業型DC)です。しかも15年ほったらかして、今や約2,000万まで育ちました。

そう、自分は確定拠出年金を”推せる側”の人間なんです。その自分が、それでも「これから始めるなら新NISAが先」と言っている——という前提で読んでもらえると。

つみたていぬ

2,000万まで育てた本人が言うんやで。
今から始めるなら新NISAが先でOK。そんなに急いで、イデコ始めなくても大丈夫。


この記事の目次

  1. まず前提:あなたのDCはどのタイプ?
  2. 新NISA登場で、確定拠出年金の存在意義は薄まった
  3. 確定拠出年金の最大の問題:ロックされすぎる
  4. それでも確定拠出年金をやっている理由
  5. 15年間の運用実績
  6. もし22歳で投資を始めるなら(妄想)
  7. まとめ:今からなら新NISA最優先

まず前提:あなたの「DC」はどのタイプ?

本題に入る前に、ひとつ整理を。ひとくちに「確定拠出年金(DC)」といっても、いくつかタイプがあって、どれに当てはまるかで、考え方が少し変わります。

① iDeCo(個人型) 自分で金融機関に申し込むタイプ。商品も口座も自分で選べる(オルカンも選べる)。会社は関係なし。

② 企業型DC(会社が導入) — さらに2つに分かれます:

  • (a) 会社が掛金を出してくれる型…給与とは別に、会社が掛金を上乗せしてくれる。いわば”会社からのプラスのお金”(会社の掛金に自分でさらに乗せる「マッチング拠出」がある場合も)。
  • (b) 選択制DC(前払い退職金型)…自分の給与の一部を「DCに回す or 現金でもらう」で選ぶ。つまり”もともと自分のお金”を、DCに入れるか現金で受け取るかの選択。

ちなみに自分は②(b)の選択制DC(会社の原資を、拠出するか給与でもらうか選べるタイプ)で、さらにマッチング拠出も利用しています。

※ 私の会社では「マッチング拠出」という名称ですが、制度としては選択制DCの要素も含んでおり、仕組みは会社によって異なります。詳細は勤務先の制度資料を確認してください。

この記事で主に話すのは「新NISAと確定拠出年金、どっちにお金を入れるか」という優先順位の話。①と②(a)の人は、そのまま読んでもらえればOK。ただ、②(b)の選択制の人だけは「そもそもDCに入れるか、現金でもらうか」という別の判断も加わります(ここは奥が深いので、別記事でじっくり)。

※ なお、iDeCoと企業型DCは、中身は同じ「確定拠出年金」。退職までは企業型DC、移したあとはiDeCo、と名前が変わるだけです。以前は併用できないケースが多かったのですが、現在は企業型DC加入者でもiDeCoを併用できる場合があります。


新NISAが登場して、確定拠出年金の存在意義は薄まった

なぜ「新NISAが先」なのか。新NISAの登場で、税金対策としての確定拠出年金の役割が、大きく薄れたからです。

旧NISAの時代は、年間の非課税枠が少なく、5年の縛りもあってめちゃめちゃ使いにくかった。 枠に収まらないお金は特定口座で運用するしかなく、そこでは利益に約20%の税金がかかります。その税負担を抑える受け皿になっていたのが、確定拠出年金でした。

確定拠出年金の税制優遇は、二段構えです。入口では、掛金がまるごと所得控除になって、毎年の所得税・住民税が安くなる。 そして出口では、退職所得控除が効いて、受け取るときの税負担も大きく減らせる。だから長期でコツコツ運用するには、かなり強い”節税の器”だったわけです。

でも新NISAが始まって、非課税枠が生涯1,800万円になった。

1,800万円まで非課税で運用できるなら、わざわざ60歳まで引き出せない確定拠出年金に頼らなくても、新NISAだけで十分すぎる非課税枠が確保できます。


確定拠出年金の最大の問題:資産がロックされすぎる

自分が確定拠出年金に感じる最大の不満は、60歳まで引き出せないという点です。

20年投資を続けてきた自分でも「長期投資は長い」と感じます。それなのに確定拠出年金は退職時(原則60歳)まで引き出せない。40代から始めれば20年以上、30代なら30年近くロックされる。

その間に病気になるかもしれない、家族に何かあるかもしれない、大きな出費が必要になるかもしれない。どんな事情があっても引き出せない。これはかなり重い制約です。

次にネックなのが商品ラインナップです。ただ、ここは企業型DCとiDeCoで事情がかなり違います。

iDeCoなら、金融機関を自分で選べる。 楽天証券やSBI証券で申し込めば、eMAXIS Slim オールカントリーのような優秀な低コスト商品も選べます。ここは新NISAとほぼそん色ない。

問題は企業型DCのほうです。会社が用意した商品の中からしか選べず、まともな低コスト商品が1本も無い、というケースも珍しくない。 信託手数料の高い商品ばかりで、実質”選択肢ゼロ”のことも。かく言う自分の選んだ外国株インデックスも、オルカンのような低コスト商品とまではいきません。用意されたラインナップの中で、いちばんコストの低いものを選んだ——ただそれだけです。企業型DCは、その程度の選択肢しかないことが多い。

もう一点、転職・退職時の手続きが面倒という問題もあります。確定拠出年金は転職や退職のタイミングで資産の移換手続きが必要になります。少しでも運用益が出ていると、その手続きを避けて通れない。(実際に退職を見据えて段取りを調べた話は確定拠出年金、退職したらどうするに書きました)特に結婚・出産・育児などで職場が変わるタイミングが多い人は、その都度この手続きが発生しがちです。

そして最近気づいたんですが、出口(受け取り)も、けっこうややこしい。 一時金か年金か、受け取り方ひとつで税金が何十万も変わります(この話は2,000万超の確定拠出年金、どう受け取る?にまとめました)。


それでも確定拠出年金をやっている理由

ここまでデメリットを並べてきましたが、それでも自分は、今も確定拠出年金を続けています。 なぜか。

ひとつは、節税が普通に強いから。 さっき書いたとおり、掛金は全額が所得控除になって毎年の税金が安くなるし、出口でも退職所得控除が効く(受け取り方の話は2,000万超の確定拠出年金、どう受け取る?に)。入口・出口の二段で優遇される器を、わざわざ捨てる理由がない。

もうひとつは、「資産の外」として、ほったらかせるから。

そもそも自分の企業型DCは、15年前に会社が導入したタイミングで始めたものです。当時すでにインデックス投資の理論は理解していたので、商品選びで迷いはなかった。用意された中でいちばん手数料の低い外国株式インデックスに全額投資、毎月の拠出も同じファンドに設定。それだけです。会社のマッチング拠出(会社の掛金に、社員が自分の給与から上乗せして拠出できる制度。上乗せ分は全額が所得控除)も、導入と同時に即申し込み。今は毎月約1.4万円を拠出しています。

そして、この確定拠出年金を、自分の中では”資産の外”として扱っています。 証券口座で管理している資産とは完全に切り離して考える。ほったらかしの退職金のおまけ、というイメージです。だから残高が増えても減っても、日常の投資判断には影響しない。60歳まで引き出せない=裏を返せば、勝手に積み上がっていく退職金として、放っておける。これはこれで、悪くないんです。


15年間の運用実績

参考までに、現在(この記事を書いた時点)の確定拠出年金の状況です。

項目金額
資産評価額19,703,730円
拠出金累計(うち本人拠出分)4,449,508円(1,035,000円)
評価損益+15,254,222円

拠出金の大部分は、会社の退職金移管分と会社拠出分です。本人のマッチング拠出分は約103万円。それに対して、評価損益が約1,525万円。

用意された中でいちばん手数料の低い外国株インデックス1本、ほったらかしで15年。 これが結果です。

変に国債やバランスファンド、ましてや元本確保型(定期預金)を選ばず、リターンが期待できる外国株インデックスを選ぶ。確定拠出年金の中での選び方は、これだけ。

ただし——強調しておきます。この+1,525万という結果は、“正しい商品を選んだ場合だけ”の話です。 同じ確定拠出年金でも、元本確保型や日本債券を選んでいたら、ここまで増えていません。せっかくの優遇の器も、商品選びを間違えたら台無し。(何を選ぶべきかはiDeCo・確定拠出年金の商品選び、自分が日本債券でやらかした話は日本債券インデックスで失敗した話に書きました)

これもある意味、本当の長期積立インデックス投資なんです。いかんせん、60歳まで引き出せないのが、本当にネックですけどね。


もし自分が今22歳で投資を始めるなら(という妄想)

完全に妄想ですが——もし自分が今22歳に戻って、ゼロから投資を始めるなら、こんな順番で組むと思います。

① まずは新NISAに全振り。iDeCo/DCはまだしない。 iDeCoの節税率は、年収450〜600万なら約20%、700万超で約30%。年収が上がるほど効く。だから若くて年収が低いうちは、節税の威力もそこそこ。それより、いつでも引き出せて出口も無税の新NISA(1,800万)を、先に埋めることに集中します。

② iDeCoを始めるなら、40歳ぐらいから。 自分なら、ややこしい会社のマッチングは使わず、転職しても持ち運べるiDeCo一本でいくと思います。始めるタイミングは、新NISAの埋まり具合と、結婚・出産・住宅みたいなライフイベントを見ながら。たぶん40歳ぐらい。そのころには年収も上がって節税も効くし、60歳まで20年あれば、複利も十分効いてきて、退職所得控除も使える。今から38年先のことは全く予想できませんが、20年後なら、不確定要素はかなり減っているはずです。

③ 退職所得控除を意識するなら、30歳から”少額”で。 ひとつだけ、早めの手も。退職所得控除は「掛金を出した年数」で決まるので、将来iDeCoを厚くするつもりなら、30歳ぐらいから月5,000円の最低額だけでも積み立てて、年数を稼いでおく——というのもアリ。30歳開始なら、60歳で加入30年=控除1,500万まで伸びます。

——と偉そうに語りましたが。これを22歳から本当にやり切れるかは、別の話。 暴落にも目先の欲にも負けず、何十年も信じ続けられるか。当時の自分にこのプランを渡しても、その通りにやれた自信は、ないですけどね。


まとめ:今からなら新NISA最優先

最後に、優先順位を整理します。

制度優先ひとこと
新NISA非課税1,800万、しかもいつでも引き出せる。まずはここから
iDeCo自分でオルカンを選べる+節税。“自分で入れる”なら本命
企業型DC(会社拠出)会社がくれる”プラスのお金”。もらえるなら活用
企業型DC(選択制)“入れる or 現金”の判断が要る(商品が微妙なら現金→NISAも)

◎ 最優先/○ 次点/— 別枠/△ 要判断

基本は、新NISAの枠(年360万円)を使い切れないうちは、iDeCoや確定拠出年金より先に新NISAを埋める。 これでいいと思います。

すでに特定口座で資産を持っている人は、特定口座からNISAへの移し替えも検討してみてください。

そして、すでに会社の企業型DCや、育った確定拠出年金がある人へ。出口まで含めて考えるなら——「どう移すか」は確定拠出年金、退職したらどうする、「どう受け取るか」は2,000万超の確定拠出年金、どう受け取る? にまとめています。


投資は自己責任でお願いします。この記事は特定の金融商品・制度を推奨するものではありません。

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