インデックス投資でやりがちな失敗:利益が出たら売りたくなる
インデックス投資で「大きな失敗」をした記憶はありません。
でも振り返ると、やりがちだったなと思う失敗が何個かあります。その一つに利益が出たとき、売りたくなることです。
利益が出ると売りたくなる
資産が増えてくると、こんな気持ちが出てきます。
「今が売り時じゃないか」「今売ればプラスで確定できる」「+50%なんだから、売れば元本の1.5倍になる」
気持ちはよくわかります。長い間マイナスが続いていたのがようやくプラスに転じたとき、「今のうちに」という感覚は特に強くなります。インデックス投資を信じていても、頭のどこかで「今売ればいいんじゃないか」という声が聞こえてくる。
でもそこで売ってしまうのは、長期投資における失敗です。
プロスペクト理論:人は損失に2倍敏感
この「損失を出したくない」心理には名前があります。プロスペクト理論です。
ノーベル経済学賞を受賞したカーネマンとトベルスキーが提唱した理論で、「人は利益の喜びより、損失の痛みを約2倍強く感じる」というものです。
これが投資でどう出るか。
含み損を抱えているとき、人は損失確定を避けようとします。「あと少し待てばプラスになるかもしれない」と。でもプラスになった途端、今度は「今のうちに売って利益を確定しよう」という気持ちが出てくる。
損失の痛みを避けたい → プラスになるまで待つ
プラスになった瞬間 → 早く確定したくなる
自分も投資を始めた頃、ファンドを乗り換えるタイミングでこれにはまっていました。「あと少しでプラスになるから、そこで売ろう」という欲が出てしまう。なんとなく欲が出てしまうもんですね。思いっきりプロスペクト理論にはまっていました。
自分の実体験:元本650万→資産980万
投資を始めて7〜8年目ごろの話です。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 元本 | 約650万円 |
| 資産 | 約980万円 |
| 損益率 | 約+51% |
「今売れば元本の1.5倍で確定できる」という状態です。
でもこのあたりから、不思議と売ることをあまり考えなくなってきました。
+50%を超えてくると、売る気が薄れてくる
含み益が大きくなってくると、売却衝動がほぼなくなってきます。
理由はシンプルで、「半分下がっても元本割れしない」という安心感が生まれてくるからです。
+51%の状態から相場が半分になったとしても、手元には約735万円残る計算です。元本650万円を下回りません。
この「どこまで下がっても大丈夫」という感覚が出てくると、売ることより持ち続けることの方が自然になっていきます。長期投資を続けることで複利の力が実感できてくる。「売るより持ち続けた方がいい」という確信に変わってくる金額です。
1,000万の壁
よく「資産1,000万円を超えると世界が変わる」と言われます。
自分の実感としても、これには根拠があると思っています。
1,000万円を超えるあたりから、運用益だけでも数十万円単位で動き始めます。自分で積み立てる額より、資産が勝手に増える額の方が大きくなってくる瞬間が来る。複利が実感できるラインです。
そしてそこまで来ると、売ることよりも持ち続けることの方が自然に感じられるようになります。
初期の売却衝動に打ち勝つことがコツ
振り返ると、最初の数年が結構しんどかったです。
マイナスが続く時期、ようやくプラスになる時期、+10%・+20%と増えていく時期。この段階が一番「売りたい」「確定したい」という気持ちが出やすい。
でもここを乗り越えて、+50%・+100%の世界まで来ると感覚が変わります。複利を実感できる。売るより持ち続ける方が合理的だとわかってくる。
コツをひとつ言うなら、「売りたい」と思ったとき、何もしないことです。
売ること自体がゴールではありません。資産を育てることがゴールです。利益が出た瞬間に売ってしまうと、その先の複利が全部消えてしまいます。
もう一つ実践していることがあります。
売りたくなったとき、「今何%動いているか」という見方に切り替えるだけで、感情的な判断がしにくくなります。詳しくはこちらの記事に書いています。
売りたくなったとき、少し待つ。相場は率で眺める。それだけで長期投資は大きく変わります。
投資は自己責任でお願いします。この記事は特定の金融商品・制度を推奨するものではありません。