インデックス投資を20年続けた結果【中編】:初めてプラスになり、複利と配当に目覚めるまで
前編では、最初の4年半、一度もプラスにならなかった話を書きました。2008年7月から2012年12月まで、54ヶ月連続でマイナス。
その続きです。ここから、景色が変わりはじめます。
この記事の目次
- 2013年1月、5年で初めてプラスになった
- 2013年、一気に増えた
- 配当という発想が芽生えた
- 2014年、資産が1,000万を突破した
- 資産が増えても、生活は何も変わらなかった
- 1,000万を超えて、増え方が変わった
- 経済的パートナーの力
- 2019年11月、VYMを買い始めた
- 中編のまとめ:耐えた前編、報われた中編
2013年1月、5年で初めてプラスになった
2013年1月、損益率が+5.69%になりました。
投資を始めてから5年以上経って、初めてプラスになった瞬間です。
「おぉーっ、ついにプラスになったかー」
というのが、正直な第一声でした。でも、そのすぐあとに、こう思ったんですよね。
「えーっと……長くない?」
プラスになるまでに、5年以上かかっているわけです。普通に考えたら、これはなかなかしんどい。ただ、正直に言うと、当時の自分はそこまで悲壮感がありませんでした。マイナスがあまりに長すぎて、感覚が麻痺していたんです。「マイナスが普通」の状態に慣れきっていたので、プラスになったこと自体が、逆にちょっと不思議なくらいでした。
2013年、一気に増えた
そして2013年は、ここから一気に増えていきます。
| 月 | 投資総額 | 資産総額 | 損益率 |
|---|---|---|---|
| 2013年1月 | 6,130,000円 | 6,479,011円 | +5.69% |
| 2013年2月 | 6,160,000円 | 7,295,075円 | +18.43% |
| 2013年12月 | 6,460,000円 | 9,471,673円 | +46.62% |
1月にプラス転換したと思ったら、2月には+18%、年末には+46%台まで行きました。
2013年はアベノミクスで日本株が急上昇した年でした。世の中が一気に「株、株」と言い出した時期です。
前編で「下落局面は悪いことばかりでもない、ただし数字で見えるのはもっと後」と書きました。その「もっと後」が、まさにこの2013年でした。マイナスの5年間、安いところで買い続けていた分が、ここで一気に効いてきた。やめなくてよかった、と心から思いました。
配当という発想が芽生えた
このころ、自分の中で一つの変化が起きています。
暴落に慣れすぎて、「増える」も「減る」も、値動きにあまり心が動かなくなっていました。マイナス40パーセントでも動じなかった人間なので、プラスになっても「ふーん」という感じ。良く言えば胆が据わった、悪く言えば無感動です。
そんな中で、ふと引っかかったことがありました。
この資産、増えたり減ったりしているけど、実際に手元に入ってきたお金は、1円もないな、と。
考えてみれば、当たり前です。含み益は、売らなければただの数字。証券口座の画面に「+46%」と出ていても、財布の中身は何も変わらない。増えても使えないし、下がっても痛くない。良くも悪くも、現実感がないんです。
そのとき、頭に浮かんだのが「配当」でした。
配当なら、実際に現金が振り込まれる。画面の数字ではなく、銀行口座に、本物のお金が入ってくる。この違いは、暴落に慣れて無感動になっていた自分にとって、思いのほか大きく感じられました。「数字が増えた」より「お金が入ってきた」の方が、はっきり実感が湧く。
当時の記録を見返すと、2013年の夏ごろに「配当をしっかり頂いて再投資に回す、これが理想じゃないか」とメモしています。まだ何も行動には移していませんが、含み益より、手に入る現金。この感覚が、このとき静かに芽生えていました。
そして、この小さな芽が、6年後のVYMにつながっていきます。
2014年、資産が1,000万を突破した
勢いはそのまま続きました。
| 月 | 投資総額 | 資産総額 | 損益率 |
|---|---|---|---|
| 2014年1月 | 6,490,000円 | 9,780,583円 | +50.70% |
| 2014年7月 | 6,670,000円 | 10,193,053円 | +52.82% |
| 2014年12月 | 6,820,000円 | 11,978,373円 | +75.64% |
2014年末、資産が1,000万を超えました。
投資総額682万に対して、資産が1,197万。損益率で+75.64%です。
ただ正直、この数字を見て、そこまで興奮したわけじゃなかったんですよね。「ああ、1,000万超えたか」という感じで。毎月記録をつけていたので、じわじわ増えていくのは見えていたし、突然ドラマチックに増えたわけじゃなかったから。
これが長期投資の感覚なんだと思います。劇的な瞬間ではなく、気づいたら増えている。
資産が増えても、生活は何も変わらなかった
2014年に1,000万円を超えて、そこからも資産は増えていきました。2017年、2018年と、順調に積み上がっていきます。
じゃあ、生活が豪華になったかというと。
みなさま、残念なお知らせです。
まったく、変わりませんでした。
これは自分でも意外だったんですが、資産が増えても、暮らしぶりは1ミリも派手になりません。「今日は資産が増えたから、ちょっと豪華な晩ごはんでも食べようか」——とは、ならないんです。残念ながら、それが現実でした。
車も、ずっと中古の軽に乗っていました。2017年に、久しぶりに「ちょっと自分の車を買ってもいいかな」と思って買い替えましたが、それももちろん中古です。そして、もちろんローンは組みません。現金で買いました。
なぜ、増えても使わないのか。
理由は、はっきりしています。「投資に回したら、もっと増えるやん」という呪縛です。
何十万円かの買い物をしようとすると、頭の中で声がします。「その金、オルカンに入れたら、10年後にはいくらになってると思ってんねん」と。そうすると、財布のひもが、どうしても固くなる。
この呪縛は、今もかかっています。資産が十分にあっても、いまだに「これを買うか、投資に回すか」で悩む。早急にリハビリが必要です。
ただ、大事なことを書いておきますね。
生活はあまり変わらなかったけど、お金に対する漠然とした不安は消えました。
そして、精神的な余裕が生まれた。これは間違いのない実感です。
もっとも、その代わりに「使うのが下手」にはなりました。増やすことばかり上手くなって、使う筋肉が育っていない。これは後々、自分の課題になっていきます(その話は、また別の記事で)。
1,000万を超えて、増え方が変わった
資産が1,000万円を超えたあたりから、明らかに感覚が変わってきました。
複利の力を、はっきりと確実に体感してきたんです。
前半の十数年は、正直、複利なんて実感できませんでした。毎月コツコツ積み立てても、増えるのは自分が入れたお金がメイン。「複利で雪だるま式に」なんて言葉は、教科書の中の話でした。
ところが、1,000万円という壁を越えると、資産の増え方がまるで違う。よく「複利を実感できるのは1,000万円から」と言われますが、これは本当でした。自分が入れた額とは関係ないところで、資産が勝手に動く。そういう感覚が、確かに出てきます。
さらにその先、2,000万円を越えると、もう、とてつもないスピードで増えていきます。これは本当にすごい。ある月に何十万も増えていて、「いや、そんなに入れてへんぞ」と。自分の入金額なんて、とっくに置き去りです。(もちろん、自分の場合はちょうど相場に乗ってうまくいった、という追い風もありましたが)
よく資本主義のバグって言葉が使われますが、確かにバグってます。
経済的パートナーの力
複利の話をしましたが、正直に言えば、資産の増え方が加速したのは、複利だけの力ではありません。
もう一つ、大きな要素がありました。妻の存在です。
少し時間を戻します。2014年あたり、田舎住まいで子どもも増えてきて、「そろそろ大きい車に買い替えるか」という話が出ていました。それなりの出費です。
その大きい車は、妻が貯金で買ってくれました。
これは、本当に運が良かったとしか言いようがありません。自分がインデックス投資に資金を回し続けられたのは、妻が家計のこういう部分を支えてくれていたからです。もし一人で全部背負っていたら、大きな出費のたびに、投資を止めていたかもしれない。一人で背負わなくていいというのは、金額以上に大きいものでした。
そして2019年あたりから、その追い風がさらに強くなります。子どもたちに手がかからなくなり、妻がフルタイムで働きに出られるようになったんです。
いわゆるダブルインカムです。世帯の収入が増えれば、投資に回せるお金も増える。前編で「入金力の大事さ」にうすうす気づいた話を書きましたが、その入金力そのものが、世帯として一段上がったわけです。
インデックス投資は、結局のところ入れた額と、市場にさらした時間でほとんど決まります。派手なテクニックはいりません。
だからこの時期、資産が加速したのは——けっして自分の投資が上手くなったからではありません。相場の追い風と、世帯の入金力が一段上がったこと。この2つが、たまたま噛み合っただけでした。
2019年11月、VYMを買い始めた
そして2019年の11月、ずっとぼんやり考えていた「配当」に、ようやく手をつけます。
VYM(米国の高配当ETF)を買い始めました。
きっかけは、石油ETFです。この月にようやく±ゼロくらいで売却できたので、その資金を元手にVYMを買いました。③で書いた「含み益より、手に入る現金」——あの感覚を、6年越しに行動に移した形です。
このときはまだ、少額の入り口にすぎませんでした。でも今振り返ると、この一歩が、後に月5万円ほどの配当を生み、「お金を使う練習」の相棒になっていきます。
増やすのは得意でも、使うのは下手。そんな自分にとって、勝手に振り込まれる配当は、ちょうどいい「使っていいお金」になってくれました。その話はオルカン1本じゃなく、VYMも持ち続ける理由に、じっくり書いています。
中編のまとめ:耐えた前編、報われた中編
中編は、2013年から2019年までの7年間でした。
振り返ると、この期間で起きたことは、こういうことです。
- 5年以上マイナスだった資産が、2013年にようやくプラスへ
- アベノミクスの追い風もあり、2014年に時価1,000万を突破
- 1,000万・2,000万と壁を越えるたび、増え方がまるで変わっていった
- 妻のダブルインカムで、世帯の入金力が一段上がった
- 資産は増えても、暮らしは何も変わらなかった(ただし、お金の不安は消えた)
- 配当という発想が芽生え、2019年11月にVYMを買い始めた
ど派手なドラマは、ないですね。基本、積み立て積み立て、たまに寄り道。インデックス投資は面白くないと言いますが、その通りです。
でも、こうして並べてみると、前編と中編は、きれいに対になっています。
前編は、ひたすら耐えた4年半でした。中編は、その我慢が初めて報われた7年間でした。
一度もプラスにならなかった自分が、気づけば複利のすごさを語っている。同じ人間が、同じことを、ただ続けただけです。耐えた時間があったから、報われる時間が来た。 それだけのことなんだと思います。
5年、マイナスに耐えた。
その5年分が、あとで効いてきた。
2020年、また暴落が来ます。コロナショックです。
そして——この暴落を境に、資産はここからさらに、加速度的に増えていくことになります。
その話は、後編で。
投資は自己責任でお願いします。この記事は特定の金融商品を推奨するものではありません。