「4%ルール」私が勘違いしていた話【みんな知ってた?】
4%ルール、はいはい、知ってます知ってます。
えーと、あれでしょう。4%ずつ株式とか投資信託を売っていけば、資産は減らへんってやつやろ。
……はい。全然違いました。かくいう私も、そう思ってたんですけどね。
でもコレ、意外とどこのサイトでも説明がバラバラやったんすけど、そんなもんなんかね。
一応、自分なりに調べて、自分のケースに当てはめてみました。
"4%"って数字だけ有名なんですが。
中身、意外と知りませんでした!!
この記事の結論
- 世間の「4%ルール」は、サイトごとに説明がバラバラ=けっこう誤解されてる
- 本家の正体は「最悪ケースでも、30年は資産がゼロにならなかった率」
- そして4%は単独じゃ成立しない。本当に大事なのは「株と債券の比率」
① 「4%なら資産は減らない」は、誤解です
まず、いちばん多い勘違いから。
調べてると、「4%なら資産は減らない」みたいに書いてるサイト、ちょこちょこあるんです。でもこれ、減る可能性は十分にあるんですよ。
本家の人(ベンゲンさん)が言ってるのは、こうです。
安全な取り崩し率は、約4%。これなら30年間、資産が”枯渇しない”可能性が非常に高い。
ポイントは「枯渇」ってとこ。要するに、ゼロにならなかったらOKってこと、なんです。“資産が減らない”とは、ひと言も言ってない。
減ることもある。でも、ゼロにはならんかった——それが本家の言う「4%」です。
そして、もうひとつ混同されがちなのが、取り崩しの”やり方”。
4%ルールは、毎年、最初に決めた額をインフレ分だけ増やして取り崩すやり方(=定額)です。「毎年、残高の4%(定率)」と混同されがちですが、本家は定額。この違いで、結果はけっこう変わります。
(実際、ネットだと”残高の4%=定率”と書いてる解説も多いんですが、本家は定額なんですよね)
で、その”本家”っていうのが、ベンゲンさん。次で、このベンゲンさんと、もうひとりの主役”トリニティ”を紹介します。
② 登場人物:ベンゲンとトリニティ
4%ルールの土台になった研究は、ベンゲンの論文とトリニティ・スタディの2つ。それぞれ1994年・1998年の研究です。
やったことは、「退職後、毎年いくらずつ取り崩したら、資産は何年もつのか」を、過去の米国株・債券データで検証した。で、「4%くらいなら30年はもちそう」と分かった。
ただ、この2つ、出してる”答え”の種類が違うんですよ。
ベンゲンの論文(1994年)
- 誰:ウィリアム・P・ベンゲン(米国のファイナンシャルプランナー)
- やり方:米国株+米国中期国債のポートフォリオで、1926年以降の各退職年を起点に、30年間取り崩すシミュレーションを実施。毎年、インフレ調整した一定額を取り崩します
- 結論:歴史上もっとも条件が悪かった退職年でも枯渇しなかった取り崩し率が、約4%。これなら30年、資産がもつ可能性が高い。ただし株と債券のバランスを保つのが大事
この研究が「4%ルール」の元祖。ここから「生活費の25倍あればFIREできる」という逆算が広まりました。
トリニティ・スタディ(1998年)
- 誰:トリニティ大学の3教授(Cooley・Hubbard・Walz)
- 正式名称:Retirement Savings: Choosing a Withdrawal Rate That Is Sustainable(=持続可能な取り崩し率を選ぶ)
- データ:1926〜1995年の米国株(S&P500)+米国長期社債
- やり方:株式の割合・取り崩し率・保有年数を、多数の組み合わせで検証し、「資産が持続する可能性(成功率)」を計算
- 結論:株50%以上で取り崩し3〜4%なら、資産が持続する可能性はおおむね95%以上。取り崩し率が高いほど持続しにくくなる。そして、株が少なすぎると失敗が増える一方で、株と債券を組み合わせた方が、安定した結果になりやすかった
こっちは、ベンゲンの結果を大規模に裏付けた研究。これで「4%ルールはちゃんと実証されてる」として、一気に世に広まりました。というか、みんなの言う4%ルールは、基本的にこっちのことですね。
ベンゲンが「安全に取り崩せるのは4%前後」という考え方を示して、それをトリニティ・スタディが、いろんな条件で検証・裏付けた――そんなイメージかな、と思ってます。
あと、大事なのが、両方が口をそろえて言ってる「株と債券のバランスが大事」ってとこですね。
そして最後に。この2つは、あくまで「米国の過去データ」を使った研究です。ただ、30年以上にわたり研究・検証が続いている、退職後の資産取り崩しを考えるうえで最も有名な考え方の一つです。
③ 「成功」って、実は”尽きなかっただけ”
ここは大事なとこなんですが。
トリニティの「資産が持続する可能性95%」——この”成功”って、どういう意味でしょうか?
実は、30年間、一度も資産がゼロにならずに取り崩し続けられたら、成功。ただ、それだけなんです。
- 30年目に、数円でも残ってた → 成功
- 29年目で、ゼロになった → 失敗
つまり”尽きなければOK”。それ以上は、問うてないんですよね。
しかも、この「成功」の中身がピンキリで——
- 30年後にドカンと資産が増えて終わった人 → 成功
- ギリギリ使い切る寸前まで減った人 → これも成功
この天と地ほどの差を、ぜんぶ「成功」の一語でまとめてるわけです。だから「成功率95%」は、「95%の確率でゼロにならなかった」であって、「95%の確率で資産が維持された」じゃない。ここが、めっちゃくちゃ誤解されています。
で、もうひとつ。じゃあ実際は、どうなるケースが多いのかというと——むしろ大きく余って終わることの方が多いらしいです。
4%は「歴史上いちばん条件が悪かったタイミングで辞めた人」に合わせた、いちばん厳しい基準。だから、普通のタイミングで辞めた人は、使い切れずに、資産がどんどん増えていくんです。
で、たぶんなんですけど——この「むしろ余ることが多い」ってとこだけが切り取られて、「4%なら資産は減らない」って書いてる記事が、多いのかもしれません。
でも実際は、“減りにくい(むしろ増えやすい)“だけ。“絶対に減らない”わけじゃない。冒頭で触れた勘違いの正体は、たぶんここなんですよね。
「ゼロにならなかったらOK」で作った数字ですので、実はほとんどの人には保守的すぎるんですよね。——これ、別記事(4%が4.7%になった話)に、まっすぐ繋がる話でもあります。
④ で、本当の主役は「株と債券の比率」
結論の3つ目、「4%は単独じゃ成立しない。本当に大事なのは”株と債券の比率”」ってやつです。
ここも、私の勘違いポイントでした。
「株の成長率が4〜6%くらいやろ。はいはい、なら4%取り崩せば、資産は減らずに生活費まかなえて、うまうま」——って思ってたんですよ。
でも、違いました。トリニティが検証したのは、株式だけじゃなく、債券も組み合わせたポートフォリオで、リバランスしながら4%取り崩す——その成功率だったんです(よく代表例に出るのが、株75:債25)。
私、ずーっと株式100%やと思ってましたがな。えっ、みなさん知ってたんですか?
原典(トリニティ)の表から、30年・インフレ調整ありの成功率を抜き出すと、こんな感じ:
| 取り崩し率(30年) | 株100% | 株75%+債券25% |
|---|---|---|
| 3% | 100% | 100% |
| 4% | 95% | 98% |
| 5% | 85% | 83% |
| 6% | 68% | 68% |
注目してほしいのが、4%の行です。
株100%(95%)より、債券を25%混ぜた75/25(98%)の方が、成功率が高いんですよ。
意外じゃないですか?「株100%が最強」と思いがちですけど、4%ルールの世界では、ちょっと債券を混ぜた方が生き残りやすいんです。
理由はシンプル。株100%は上振れもデカいけど、取り崩しを始めた直後の暴落に弱いんですよね。これ、「シーケンスリスク」と呼ばれるやつです。債券(や現金)が、そのクッションになって和らげてくれる。
※ シーケンスリスクとは…取り崩し開始の”直後”に暴落が来ると、致命傷になりやすいリスク。安いところで多く売る羽目になって、その後に相場が戻っても回復しきれない。同じ平均リターンでも、暴落が”早く来る”か”遅く来る”かで、結果が大きく変わるんです。
実際、FIREを意識しだすと、「退職前後の暴落に、どう備えるか」が、一番の課題になってきます。だからこの「債券(や現金)のクッション」という考え方は、絶対に外せないんですよね。
じゃあ、自分は実際どうやっていこうと思っているのか。次で、書いてみます。
⑤ じゃあ、自分はどうしていくか
まず、びっくりする結論から言います。
臨機応変にやる!!
……いや、ふざけてないです。ちゃんと理由があって。
そもそもトリニティの前提は、米国株(S&P500)と米国の債券なんですよ。自分のポートフォリオ(オルカン+VYM)とは、中身がそもそも違う。為替リスクだってある。
(てか、4%ルールを語ってる人、みんなS&P500が基本ポートフォリオって前提なん? ほんまか…?)
なので自分は、4%ルールをそのまま当てはめず。前提が違うので、出口戦略のひとつとして頭に置いておく——ここが大切かも。とはいえ、考え方や方向性は、めちゃくちゃ参考になる。
で、具体的にはこの3本柱。
① 株式+現金の、シンプルな2本立て 債券は……10年国債が理論上いいんですが、めんどいのでやりません。安全資産は、現金で持ちます。
② 引退直後の暴落(シーケンスリスク)に、現金で備える 取り崩しが始まった直後の暴落が、いちばんこわい。だから現金のクッションを、厚めに持っておく。
③ かたくなに「4%(定額)」にこだわらない 相場やライフプランに合わせて、2%・3%と取り崩し率を下げてもいい。足りなければ、ちょっと働く・支出を減らす。何かできることはあるやろうという考えを持っておきます。
で、②をもう少し具体的に。引退までの時間から逆算して、現金を厚くしていくつもりです。たとえば——NISAが満額になったら、新規投資はごく少額に切り替えて、その分を現金に回すとか。今、自分が「心地いい」と感じてる800万以上の預貯金を、計画的に積み増していく。
——だから、「臨機応変」なんです。
そして、20年考えてきたので、「何も考えず4%で取り崩す」という状態には、多分ならないと思うんですよね。
さらに、20年考えて、全然、大した答えには辿り着いていないことも、ここに記しておきます。
まとめ:4%ルールの「ほんとのところ」
長くなったので、サクッとおさらいを。
- 世間の「4%ルール」は、サイトごとに説明がバラバラで、けっこう誤解されがち(「減らない」とか「残高の4%=定率」とか)
- 本家の正体は「最悪ケースでも、30年は資産がゼロにならなかった率」。“なくならないだけ”で、“維持される”わけじゃない(むしろ余りがち)
- そして4%は単独じゃ成立しない。本当に大事なのは「株と債券の比率」
要するに、「4%」って数字だけが一人歩きしてるけど、中身は意外と知られてない——ってことですね。かくいう私も、調べるまで盛大に勘違いしてました。
そして自分なりの結論は、さっき書いたとおり「臨機応変」。前提が違うので、4%を絶対視せず、現金のクッションを持って、状況で動かす。それでいいじゃないか、と思ってます。
最後にひとつ。実はこの4%、生みの親のベンゲン本人が、最近「もう少し使える?」と言い出してるんです(なんと4.7%に)。その話は、別記事にまとめました。
👉 “4%ルール”が4.7%に?生みの親の新説を、積立20年の投資家が調べてみた
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