投資20年、対数グラフを分かっていませんでした【資産推移を描き直した】

実績・記録

投資を20年やってきて、対数グラフのことをあまり分かっていませんでした。「対数ね、はいはい」と知ってるふりしてきました。

今回きちんと調べ直して、自分がいつも見ていたS&P500のチャートが、そもそも対数目盛りだったことを知りました。

そして、自分の資産推移グラフは普通の目盛りだったことにも気づきます。

描き直してみると、思っていた以上に見え方が変わりました。

普通のグラフでは、どの時代を見ても「今は上がりすぎじゃないか」と感じます。でも対数グラフでは、その錯覚がかなり薄れます。

積立を続ける人ほど、この違いは大きいのかもしれません。

投資を始めたのは20年前ですが、毎月の資産を記録し始めたのは2008年7月から。この記事では、218ヶ月分の資産推移を普通の目盛りと対数目盛りで並べて比べてみます。

つみたていぬ

20年やってても、知らんかったことは普通にあるんやね。

この記事の目次

  1. 調べたら、拍子抜けするほど単純でした
  2. S&P500のチャートが、対数だった
  3. 自分のグラフを、描き直してみた
  4. 傾きが、そのまま伸び率になる
  5. ただし、この傾きは私の実力ではありません
  6. ついでに、1,000万ごとに区切ってみた
  7. まとめ

1. 調べたら、拍子抜けするほど単純でした

対数目盛りとは、金額ではなく「倍率」で刻む目盛りです。

普通の目盛りと対数目盛りの比較

普通の目盛りは、1目盛りごとに1,000万円ずつ足していきます。対数目盛りは、1目盛りごとに2倍ずつ掛けていきます。

なお、この図では分かりやすく2倍ずつにしていますが、倍率は3倍でも10倍でも構いません。同じ倍率で刻んでいれば、それが対数目盛りです。

だから対数グラフでは、2,500万が5,000万になるのと、5,000万が1億になるのが、同じ高さの上昇になります。どちらも2倍だからです。

普通のグラフなら、後者は前者の2倍の高さになります。

投資でこれが便利な理由は、複利がかけ算だからです。

毎年5%増えるというのは、毎年1.05を掛け続けるということ。金額の増え方は年々大きくなりますが、掛けている数はずっと同じ1.05です。

対数目盛りなら、この「ずっと同じ1.05」が、まっすぐな線として現れます。普通の目盛りだと、同じ1.05なのに後半だけ急カーブに描かれる。これが「今は上がりすぎ」に見える正体でした。


2. S&P500のチャートが、対数だった

私がいつも見ていたS&P500の長期チャート、あれが対数目盛りでした。

なぜ対数なのか。自分で描いてみて、理由が分かりました。

S&P500の153年 普通の目盛りと対数目盛り

上が普通の目盛りです。1929年の世界恐慌のあたり、何も起きていません

実際には、そこで84.8%下げています。1929年の高値31.30が、1932年には4.77になりました。それでも今の株価が5,500近くあるので、グラフの上では線の太さ以下に潰れてしまうわけです。

歴史上最悪の暴落が、何も起きていないように見える。それでは資料になりません。だから長期チャートは対数が標準なんですね。

下の対数目盛りなら、同じ場所がはっきり谷として見えます。

縦軸の数字も見てください。5、10、20、50、100、200、500と並んでいます。数字はどんどん大きくなっていくのに、線の間隔は全部同じです。これが「倍率で刻む」ということでした。

つみたていぬ

ずっと見てたのに、なんで対数なのか考えたこともなかったわ。


3. 自分のグラフを、描き直してみた

証券会社のアプリも、自分のExcelも、全部が普通の目盛りでした。S&P500のチャートには対数を使っているのに、自分の記録は普通の目盛りで見ていたわけです。

というわけで、2008年7月からの218ヶ月を、両方の目盛りで描き直しました。青い線が資産の総額、灰色の点線が自分で投資した金額です。

なんかいい感じにできたぞ。

私の資産推移 普通の目盛りと対数目盛り

同じデータです。でも、見え方がまったく違いました。

普通の目盛りでは、前半の10年がほぼ地面に張り付いています。2008年から2018年まで、何も起きていないように見える。

対数目盛りでは、2009年の落ち込みがはっきり谷になっています。

そして、灰色の点線に注目してください。

私の資産は、2008年7月から2012年12月までの54ヶ月間、ずっと元本割れでした。4年6ヶ月です。

いちばん悪かったのは2009年2月。投資した359万円に対して、資産は214万円。損益率は-40.48%でした。

その4年半が、普通の目盛りでは完全に消えています。


4. 傾きが、そのまま伸び率になる

描き直して分かったのは、対数グラフでは線の傾きがそのまま伸び率になるということです。

  • 上向きに急なら、その年はよく伸びた
  • 下向きに急なら、暴落した
  • 平らなら、止まっている
  • 傾きが一定なら、ずっと同じ率で伸びている

目で見た角度が、そのまま数字になります。

分かりやすい例が、自分のデータにありました。

2013年、私の資産は599万円から947万円になりました。伸び率は+58.1%です。2024年は、5,222万円から7,275万円。伸び率は+39.3%。

伸び率だけ見れば、2013年のほうが大きい

でも普通の目盛りのグラフでは、2013年はほとんど動いていないように見えます。金額の変化が348万円しかないからです。2024年は2,054万円動いているので、6倍近い高さで描かれます。

対数目盛りなら、2013年の傾きのほうがちゃんと急になります。同じ努力が、同じ傾きで表示される。これが対数グラフの効用でした。

ついでに言うと、よく聞く「72の法則」も対数から来ています。正確には69.3が正しい数字なのですが、72のほうが2でも3でも4でも6でも8でも割り切れて暗算しやすいので、72が使われているそうです。

ただし、この傾きには自分の入金も混ざっています。純粋な運用成績ではありません。そこは次の章で分けてみます。


5. ただし、この傾きは私の実力ではありません

グラフの傾きには、自分の入金が混ざっています

2009年、私の資産は見かけ上70.5%伸びています。でも、その年の実際のリターンは15.7%でした。

残りの55ポイントは何かというと、自分で入れたお金です。

その年に投資した額は111万円。前年末の資産が218万円しかなかったので、資産の半分に相当する額を、その年に突っ込んでいたことになります。傾きが立って当然でした。

この差は、資産が大きくなるにつれて消えていきます。

その年の投資額 ÷ 前年末の資産
2009年50.8%
2012年7.5%
2018年3.6%
2026年(8月まで)1.3%

今は1.3%です。もう入金では傾きが動きません。今のグラフの傾きは、ほぼ純粋に相場の結果になっています。

逆に言えば、序盤の傾きは、ほとんど自分の入金の傾きでした。同じ1本の線なのに、途中で意味が入れ替わっていたわけです。

つい最近の伸びに目を奪われがちですが、そこには入金という別の要素が混ざっている。この視点は、対数で描き直さなければ気づけませんでした。

なお、入金の影響を除いて本当のリターンを測る方法もあります。IRRという計算のやり方があるのですが、長くなるので別の機会に書きます。


6. ついでに、1,000万ごとに区切ってみた

せっかく218ヶ月分の数字があるので、他の切り方も試してみました。

1,000万円ごとに、到達までどれくらいかかったのか。

1,000万円ごとにかかった時間

区間かかった時間
スタート → 1,000万72ヶ月(6.0年)
1,000万 → 2,000万74ヶ月(6.2年)
2,000万 → 3,000万9ヶ月
3,000万 → 4,000万10ヶ月
4,000万 → 5,000万16ヶ月
5,000万 → 6,000万8ヶ月
6,000万 → 7,000万7ヶ月
7,000万 → 8,000万11ヶ月
8,000万 → 9,000万3ヶ月
9,000万 → 1億5ヶ月

自分で作っておいて、数字を見て固まりました。

残念な事実をお伝えしなければなりません。2,000万円に届くまで、とてつもなく時間がかかることが分かってしまいました。

最初の1,000万に6年0ヶ月。次の1,000万に6年2ヶ月。

一方で、2,000万を超えたあとは、1,000万を積むのが1年以内になっています。8,000万から9,000万にいたっては3ヶ月でした。

18年のうち、最初の2,000万で12年2ヶ月。全期間の68%です。

残りの8,000万は、5年9ヶ月で積み上がりました。

インデックス投資に再現性があることは、なんとなく証明できたかもしれません。でも同時に、最大の弱点である「時間がかかること」も、証明してしまったかもしれません。

後半の加速は、複利だけの成果ではありません。2020年から2022年にかけて、私は1,182万円を追加で投資しています。相場が良かった時期とも重なりました。放っておいたら勝手にこうなった、という話ではないです。


7. まとめ

  • 対数目盛りとは、金額ではなく「倍率」で刻む目盛りだった
  • S&P500の長期チャートは、最初から対数だった
  • 普通の目盛りだと、1929年の-84.8%が線の太さ以下に潰れてしまうから
  • 自分の資産推移を描き直したら、54ヶ月の元本割れが見えてきた
  • 対数グラフでは、線の傾きがそのまま伸び率になる
  • ただし、その傾きには自分の入金が混ざっている
  • 1,000万ごとに区切ると、最初の2,000万で全期間の68%を使っていた

同じデータでも、見せ方を変えると別の話に見えます。普通の目盛りは、序盤の努力を過小評価します。

証券会社のアプリは、ほぼ全部が普通の目盛りです。変えられません。だからこそ、年に1回くらい自分で対数グラフを描いてみるのは、悪くない習慣だと思いました。

Excelなら、縦軸を右クリックして「軸の書式設定」を開き、「対数目盛を表示する」にチェックを入れるだけです。

18年分の記録が手元にあると、こういう遊びができます。記録を続けていてよかったです。

20年の実績そのものについては「積立投資、全然増えない…」そんな人に見てほしい20年の本物のグラフに、暴落のときに何を考えていたかは暴落が来ても売らないに書いています。


投資は自己責任でお願いします。この記事は特定の金融商品を推奨するものではありません。

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