その「年5%」は名目ですか、実質ですか。20年気にしてこなかった話
インデックス投資積立のシミュレーションで、こういうのを見たことがあると思います。
月5万円、オルカン、年5%で30年
この「年5%」が名目なのか実質なのか、考えたことはありますか。
自分は20年間、まったく気にしていませんでした。
20年も気にせんかったんかい。
この記事の目次
- 自分の20年は、名目と実質がほぼ同じでした
- 最近、様子が変わりました
- そして、その5%は名目ですか
- 同じ「5%」に、2つの出自があります
- 実質=名目−インフレ率
- 月5万・30年で計算してみました
- だからこそ、時間が要ります
- これから実質で見ようと思う理由
- 実は、もう実質で置いていました
- まとめ
自分の20年は、名目と実質がほぼ同じでした
言い訳ではなく、気にする必要がなかったんですね。
投資を始めたのは2008年です。それから2020年ごろまで、日本の物価はほとんど動いていません。デフレと言われていた時期です。
物価がほとんど動かない時期が長かったので、インフレを意識する必要がありませんでした。
自分の感覚では、名目5%も実質5%も、ほぼ同じ意味でした。
だから「年5%」と言われたら、そのまま5%として受け取っていました。それで20年、特に困りませんでした。
最近、様子が変わりました
下のグラフを見てください。消費者物価指数のグラフです。
どう考えても、インフレが進んでいますよね。

2021年まで、ほぼ0%です。それが2022年から3%前後に変わっています。直近の2026年7月も、前年比1.9%上がっています。
消費者物価指数とは:スーパーの食品から電気代、家賃まで、暮らしで買うものの値段をまとめて指数にしたものです。総務省が毎月発表しています。ニュースで「物価が何%上がった」と言っているのは、この数字のことです。
まっ、私ぐらいの20年選手になると、最近になってやっと「そういう概念があるんや」「毎月発表してるんや」「生活に影響出とんなー」と知ったんですけどね。
で、この数字を積み上げると、もっと分かりやすくなります。

2015年を100とすると、2025年は114です。10年で14%上がりました。
言い換えると、同じ100万円で買えるものが、10年で1割以上減っています。
これ、現実的にめちゃめちゃ怖くないですか。現金で資産を持っていると、どんどん購買力が下がっていっているということですよね。
現金は減らないので安全に見えます。でも、減らないのは数字のほうだけです。
これを機に、現金と投資の割合を考えてみるのもありだと思います。
自分の場合は、こうなっています。
| 金額 | 割合 | |
|---|---|---|
| 現金 | 約900万円 | 約8% |
| 投資 | 約1億円 | 約92% |
生活防衛資金として現金を置いて、残りは投資に回している形です。
どこまで現金を持つかは、エクスポージャーとリスク許容度は、別のものですに書きました。
そして、その5%は名目ですか
ここで冒頭の疑問に戻ります。
自分は最初、実質のことだろうと思っていました。株式の長期リターンは実質で5%くらい、という話を聞いたことがあったからです。
調べたら、違うんですね。
積立シミュレーションの5%は、購買力ベースの数字ではありませんでした。
金融庁のつみたてシミュレーターの入力欄は、毎月の積立金額・想定利回り・積立期間の3つです。インフレ率を入れるところはありません。
つまり、物価上昇を差し引いて購買力で計算する仕組みにはなっていない、ということです。
同じ「5%」に、2つの出自があります
ややこしいのは、両方の5%が世の中に存在することです。
| 中身 | どこで見るか | |
|---|---|---|
| 名目5% | インフレを引く前の数字 | 積立シミュレーター、SNSの計算 |
| 実質5% | インフレを引いた後の数字 | 株式の長期リターンを実質5%前後と置いて議論するとき |
同じ5%なのに、意味が違います。
実質だと思って名目の計算を見ていると、将来の金額を大きく見積もることになります。
実質=名目−インフレ率
ざっくり言うと、この引き算です。
| 名目リターン | 口座の数字がいくら増えたか |
| インフレ率 | 物価がいくら上がったか |
| 実質リターン | 買えるものがどれだけ増えたか |
名目5%でインフレが2%なら、実質は約3%です。
口座の数字は5%増えていても、買えるものは3%しか増えていません。
月5万・30年で計算してみました
数字で見ると分かりやすいです。
| 30年後 | |
|---|---|
| 元本 | 1,800万円 |
| 年5%(名目) | 約4,100万円 |
| 実質で見ると(インフレ2%) | 約2,900万円 |
差は約1,200万円。3割ほどが消えます。
約4,100万円という数字は間違っていません。30年後には、たしかに口座にその金額があります。
ただ、それで買えるものは、いまの約2,900万円ぶんです。
だからこそ、時間が要ります
これは怖い話ではなく、計算の話です。
実質で見ると、増え方は想像より小さい。だとすれば、足りないぶんを埋められるのは時間しかありません。
金額を増やすか、期間を伸ばすか。会社員の場合、無理なく大きく動かしやすいのは期間のほうです。
自分の場合、最初の2,000万円に12年かかりました。その記録はインデックス投資とは?20年続けた記録で説明しますに書いています。遅く始めていたら、この20年は成立していません。
口座を開くところからの手順は、楽天証券の口座開設手順にまとめました。
これから実質で見ようと思う理由
20年やってきて、いまさらですが、実質で見ることにしました。
理由は2つです。
1. 購買力そのものだから
資産の目的は、数字を大きくすることではなく、将来何かを買うことです。買えるものの量で測るほうが、目的に合っています。
2. FIREの計算が保守的になるから
ここが大きいです。生活費を今の金額のまま置いて、リターンだけ名目で置くと、辻褄が合わなくなります。30年後の生活費もインフレで上がるからです。
生活費を今の購買力で置くなら、リターンも実質で置いたほうが分かりやすい。それだけの話です。
実は、もう実質で置いていました
書きながら気づいたのですが、自分のツールはすでにそうなっていました。
FIREシミュレーターも、エクスポージャーとリスク許容度の試算も、実質リターン5%・リスク17%で置いてあります。
作るときに調べて、そうしたはずです。ただ、普段の感覚は名目のままでした。
まとめ
| 20年気にしなかった理由 | 日本にインフレがなく、名目=実質だったから |
| SNSや証券会社の5% | 購買力ベースの数字ではない |
| 実質 | 名目からインフレ率を引いたもの |
| 月5万・30年での差 | 約4,100万円 → 約2,900万円(3割ほど) |
| これから | 実質で見る。購買力そのもので、FIRE計算も保守的になる |
20年やってきて、いまごろ気づきました。
デフレの時代に投資を始めた人間には、この区別が要らなかった。それだけの話です。
これから始める人は、最初から実質で見たほうがいいと思います。同じ「5%」でも、意味が違うので。
投資は自己責任でお願いします。この記事は特定の金融商品を推奨するものではありません。