VYMのデメリット。7年保有した本人が本音で書く【今ゼロからなら買わないかも】
全世界株(オルカン)と並んで、自分のポートフォリオの軸になっているVYM(米国の高配当ETF)。約7年、持っています。
人気の銘柄です。えぇ、ネットで「VYM」を調べると、出てくるのはメリットの話。「配当が嬉しい」「不労所得」「分配金で生活」……。
そこで今日は、7年持った自分が、VYMの”デメリット”を書いてみたいと思います。
先に言っておくと、自分はVYM大好きです。今もしっかり持ってるし、分配金はとても嬉しいです。でも——もし今ゼロから始めるなら、もしかして、買わないかもしれない。 そう思うくらいには、デメリットも、ちゃんとあるんです。
結論はこう。VYMは、万人向けじゃない。でも、デメリットを理解したうえで目的が合う人には、とてもいい商品ですね。 その境目を、実体験で書いていきます。
※ 自分は特定口座メイン+旧NISAで少し保有。数字や実感は、すべて自分のケースです。 ※ 投資判断は自己責任でお願いします。
VYM、大好き。配当はいい感じ。生活を豊かにしてくれる。
でも、ええことばっかりでもない。7年持ったリアルなデメリット、書きます。
この記事の目次
- 先に結論:VYMはこんな人には向かない
- デメリット1:分配金課税で、複利が削られる
- デメリット2:為替の影響をモロに受ける
- デメリット3:将来の資産計算がややこしくなる
- デメリット4:外国税額控除に確定申告がいる
- デメリット5:NISAだと米国の10%が取り戻せない
- デメリット6:始めるのにまとまった資金と決断がいる
- それでも、VYMを持ち続ける理由
- まとめ:VYMは万人向けじゃない。でも合う人には効く
① 先に結論:VYMはこんな人には向かない
デメリットを並べる前に、結論から。次のどれかに当てはまる人は、VYMじゃなくオルカン(全世界株)一本でいいと思います。
- 資産を、とにかく最大化したい人 → 配当が出るたび課税されるVYMより、課税が繰り延べられるオルカンのほうが、複利は効きます。
- 確定申告をしたくない人 → VYMの配当は、放っておくと米国に10%取られっぱなし。取り戻すには確定申告の手間がかかります。
- 投資資金が、まだ少ない人 → 高配当といっても、元手が小さいと分配金は雀の涙。「配当が嬉しい」を実感できるまでには、それなりの資金が要ります。
- 投資を始めたばかりの人 → まずはオルカン一本で十分。VYMは、軸ができてから考えても遅くない。
逆に言うと、これらをわかったうえで、“配当が欲しい”明確な理由があって、しかも買うタイミング(利回り)が合う人——そこが、VYMの出番です。
ただ、この「タイミング」がクセモノで。同じVYMでも、利回りが高いときに買うか、低いときに買うかで、話がだいぶ変わるんです。自分がまさに”目的の合う人”なんですが、それでも「今の利回りなら?」と聞かれると……という本音は、後半でちゃんと書きます。
では、具体的なデメリットを、ひとつずつ見ていきます。
② デメリット1:分配金に課税されて、複利が削られる【最大の弱点】
VYMの最大のデメリットは、これだと思っています。配当が出るたびに、税金が引かれる。
VYMは、年4回、分配金を出します。そのたびに——
- 米国で10%(源泉徴収)
- 日本で20.315%
が課税される。受け取った時点で、もう税金で削られているわけです。
オルカン(無分配)と比べると、差がわかる
ここが、全世界株インデックス(オルカン)との決定的な違いです。
- オルカン:分配金を出さず、中で再投資。売るまで課税されない(課税の繰り延べ)。税金を引かれずに、まるごと複利で回り続ける。
- VYM:配当が出るたびに課税。再投資するなら、税引き後のお金を、自分で再投資することになる。
「配当を再投資するなら、オルカンと同じでは?」と思うかもしれません。でも、再投資する前に課税で削られるぶん、どうしてもオルカンに一歩譲る。これが、高配当ETFが”資産の最大化”には向かない、いちばんの理由です。
実際、自分の昨年の実績で言うと
実際、自分の2025年の例で言うと——VYMの分配金は、税引き後・円換算で58万円。逆算すると、税引き前は約80万円です。
もしこれがオルカン(無分配)なら、この80万円は、まるごと課税されずに、中で複利を続けてくれる。でもVYMは、この80万のうち約23万円が税金で引かれ、確定申告で約4万円戻っても、約19万円は確実に税金として消える。
毎年、複利で回るはずだった原資から、確実に約19万円が引かれていく。これが、長く続くほどボディブローのように効いてくる——というのが、最大のデメリットです。
——ただ、誤解しないでほしいのは、これは「定期的に配当をもらう」こととのトレードオフだということ。複利を多少ゆずる代わりに、現金が入ってくる。その現金に価値を感じるかどうかが、VYMを選ぶかの分かれ目です(自分は感じる側。理由は後半で)。
③ デメリット2:為替の影響を、モロに受ける
VYMは、米国のETF。ドル建てです。つまり、為替(円とドルのレート)の影響を、まるごと受けます。
しかも、効くのは株価だけじゃない。分配金まで、為替に左右されるんです。
VYMの配当は、ドルで支払われます。それを円に換えるとき——
- 円安なら、同じドルの配当でも、円では多くもらえる
- 円高なら、同じ配当でも、円換算すると目減りする
たとえば、1ドル150円のときと120円のときでは、同じ100ドルの配当が、15,000円と12,000円。配当が減ったわけじゃないのに、手取りが2割変わる。
オルカン(全世界株)にも為替リスクはありますが、VYMは「株価+分配金」の両方で、ダイレクトに効いてくる。高配当ETFは、為替の影響をより強く受ける商品なんです。
しかも、これは”コントロール不能”
だから自分は、もう「受け入れるしかない」と割り切っています。円高のときは「まあ、そういう年もある」と。コントロールできないことを気にしても、しょうがないですからね。
④ デメリット3:将来の資産計算が、ややこしくなる【地味に頭が痛い】
これは、あまり言われないデメリットです。でも自分は、地味に「うっ」となってます。
VYMが混じると、将来の資産計算が、急にめんどくさくなる。
オルカンだけなら、計算は一行
全世界株(オルカン)だけで運用してると、将来予測はすごくシンプルです。
「年5〜6%で回る」と置いて、今の額 × 複利。それだけ。「20年後はだいたいこのくらい」が、一本の式でパッと出る。
VYMが入ると、計算が”分裂”する
ところが、VYMが混じると、こうはいきません。
VYMのリターンは、「値上がり」と「配当」に分かれます。しかも配当は、税金で削られたり、使ってしまったりする。再投資せず配当を使うなら、VYM部分の実質的な成長率は、ぐっと下がる(ざっくり年1〜2%くらいの感覚)。
すると、「ポートフォリオ全体で、将来いくらになる?」を計算するとき——
- オルカン部分:年5〜6%で複利
- VYM部分:実質1〜2%+毎年の配当(税引き後・使う前提)
と、別々に分けて計算しないといけない。 全部オルカンなら一本で済んだ将来予測が、VYMを混ぜたとたん、こまごまと面倒になる。
「シンプルさ」も、立派な価値
地味に聞こえるかもしれません。でも、投資を長く続けるうえで、“計算がシンプル”というのは、けっこう大事だと思っています。
ほったらかしで、たまに「だいたいいくらになってるかな」と眺める。オルカン一本なら、それが一瞬で分かる。VYMを混ぜると、その手軽さが少し失われる。増やすことだけ考えるなら、シンプルなオルカン一本のほうがラク——というのは、ありますね。
⑤ デメリット4:外国税額控除に、確定申告がいる
VYMの配当は、米国で10%引かれます(さっきの実数でいうと、約8万円ぶん)。これを取り戻すには——「外国税額控除」のために、確定申告が必要です。
放っておくと、米国の10%は取られっぱなし。取り戻したいなら、自分で申告する手間がかかります。会社員で、普段ふるさと納税くらいしか確定申告しない人にとっては、ちょっとしたハードルです。
しかも、戻ってくる額は、思ったほど大きくない。控除には上限があって、全額は戻りません(自分の場合、昨年戻ってきたのは約4万円。詳しくはVYMで確定申告したら年4万円戻ってきた話に)。
⑥ デメリット5:NISAだと、米国の10%が取り戻せない
これは、ちょっと盲点になりやすい話。NISAでVYMを持つと、“完全非課税”にはならないんです。
NISA(旧NISAも新NISAも)は、利益や配当が非課税になる制度。たしかに、日本の20.315%は、かかりません。
でも——米国で引かれる10%は、NISAでも取られます。 しかも、タチが悪いことに、この10%は、取り戻せない。
なぜ取り戻せないのか
さっき出てきた「外国税額控除」。これは、日本の税金から差し引くしくみです。
ところがNISAは、そもそも日本の税金がゼロ。差し引く相手(日本の税金)がないので、外国税額控除も使えないんです。だから、米国の10%は、まるごと取られっぱなしになる。
自分も旧NISAで少しVYMを持っていますが、ここは「もったいないな」と思う部分。NISA枠は、米国ETFより、オルカン(投資信託)で埋めたほうが、非課税のメリットをフルに活かせる——というのが、今の実感です。
⑦ デメリット6:始めるのに、まとまった資金と”決断”がいる
最後のデメリットは、ちょっと毛色が違います。VYMは、始めるときに、それなりのまとまった資金と、思い切りが要るんです。
少額だと、配当の”嬉しさ”が出ない
VYMの魅力は、なんといっても配当。でも、元手が小さいと、配当も雀の涙です。
利回り3%なら——
- 10万円ぶん持っても、年3,000円
- 100万円ぶんで、年3万円
「配当が入ってきた!」という実感が出てくるのは、ある程度まとまった額を入れてから。だから、コツコツ少額から……というより、ある程度の資金を、ドンと振り向けるほうが、VYMは効いてきます。
“コツコツ積立”から、切り替える決断
そして、ここが地味に重い。毎月コツコツ積み立ててきた人が、どこかで「VYMに回そう」と切り替えるのは、けっこうな決断なんです。
しかも、VYMは配当利回りが命。利回りが高い(株価が落ち着いている)タイミングで買いたいので、「いつ、どれだけ振り向けるか」も考える。オルカンを淡々と積むだけなら要らなかった”判断”が、VYMには付いてきます。
自分はたまたま、うまくいった
自分の場合は、運がよかった。ちょうど散らかっていた投資信託を整理するタイミングと重なって、その資金を、勢いでVYMに乗り換えられた。
始めるハードルが、オルカンよりちょっと高い——これも、リアルなデメリットです。
⑧ それでも、自分がVYMを持ち続ける理由
ここまで、デメリットを6つ並べました。複利が削られる、為替、計算がめんどい、確定申告、NISA相性、始めるハードル……。
「じゃあ、なんで持ってるの?」と思いますよね。でも自分は、これからもVYMを持ち続けます。 むしろ、大好きです。
理由はシンプル。並べたデメリットは、ぜんぶ”裏を返せばメリット”だから。
- 複利が削られる → 使えるお金が、確実に・定期的に入ってくる 自分で売らなくても、配当が向こうから来てくれる。取り崩しが苦手な人ほど効く。
- 為替の影響を受ける → 円高は”買うチャンス” 安く仕込めるし、配当も円転せず、ドルのまま買い増せる。
- 計算がややこしい → 「いくら入ってくるか」が見える 増える額は読みにくくても、もらえる額は読める。生活設計しやすい。
- 確定申告がいる → 税金に、ちょっと詳しくなる やってみると、税金まわりのことが分かってくる。なんでもやってみるもんやね。
- NISAだと米国10%が漏れる → それでも日本分は非課税 割り切れば、確定申告なしで恩恵だけもらえる。
- まとまった資金・決断がいる → 資金があれば、利回りで決断しやすい 弾を用意しておけば、あとは利回りを見て動くだけ。
そして何より——取り崩しが怖い自分には、配当が”ちょうどいい”。20年かけて育てた資産を「売る」のは、どうしても手が止まる。でも配当なら、勝手に入ってくる。だから自分は、お金を使えるようになった(この話はVYM分配金の使い道に)。
オルカン(増やす)と、VYM(もらう・使う)。効率だけが、投資の正解じゃない。 もらう楽しみがあるから、続けられる。この2軸が、自分にはしっくりきています(オルカンとVYMの2軸に)。
⑨ まとめ:VYMは万人向けじゃない。でも”合う人”には効く
長くなったので、最後に。
VYMには、ちゃんとデメリットがあります。複利は削られるし、為替に振られるし、計算も確定申告も手間。資産を最大化したいだけなら、オルカン一本のほうが、ラクで効率的です。
でも自分は、デメリットを全部わかったうえで、持ち続けます。取り崩しが苦手な自分にとって、配当という”勝手に入ってくる現金”は、何物にも代えがたいから。増やすだけじゃなく、もらって、使う。その回路があるから、投資を楽しく続けられている。
「今、ゼロから買う?」と聞かれたら
ただ、本音を言うと——“今この瞬間に、ゼロから新しく買うか”は、別問題です。
VYMの魅力は、なんといっても配当利回り。でも今は、株価が上がったぶん利回りが下がっていて、ぶっちゃけ、そこまでの妙味は感じません。自分の感覚だと、利回りが3%を超えてくれば「お、買い時かも」と思うし、できれば4%くらいは欲しい。完全に個人の主観なんですが、「今じゃない」というのが今の気持ち。
だからタイトルの「今ゼロからなら買わないかも」は、こういう意味。持ってるVYMは大好きだし、手放す気もない。でも、“今この利回りで、新しく買い始めるか”と言われると、ちょっと待つ——そういう温度感です。
白状すると——出口は、まだ”モヤモヤ”
最後に、ひとつ本音を。
実は自分、VYMの”出口”には、まだ答えが出ていません。
確定拠出年金は、出口(受け取り方・税金)まで本気で計算しました。でもVYMは——「で、これ、いつまで持つの? ずっと持っとくの? 最後どうするの?」が、いまだにモヤモヤしたまま。
たぶん、当面は持ち続けて、配当をもらいながら、ちょっとずつ使っていく。それでいい気もするし、どこかで考え直す日も来るかもしれない。この”出口の答えのなさ”も含めて、VYMとは長い付き合いになりそうです。
——というわけで。VYMは、万人にはすすめません。でも、デメリットを理解したうえで「それでも配当が欲しい」という人には、めちゃくちゃいい商品なんじゃないかと思ってます。
投資は自己責任でお願いします。この記事は特定の金融商品を推奨するものではありません。