学資保険をやらなかった理由。返戻率102%を年率にしたら0.2%でした
家計管理学資保険はやりませんでした。
15年ほど前に一度だけ検討して、やめています。返戻率は102%でした。
18年で2%か。渋いな。
この記事の目次
- 自分から探したわけではありません
- 断れたのは、比べる相手がいたからです
- 返戻率102%を、年率に直してみます
- しかも、当時のほうが条件はよかった
- 重かったのは、利率より資金拘束でした
- 代わりにやったこと
- いまの学資保険で、同じ条件を計算してみます
- いまならこどもNISAがあります
- まとめ
1. 自分から探したわけではありません
学資保険を調べようと思ったことは、一度もありません。
子どもが少し大きくなったころ、どこからともなく営業の人が来ました。それで話を聞いた、というのが始まりです。
当時はジュニアNISAもありません。子どもの教育費を用意する方法として、学資保険はごく普通の選択肢でした。
2. 断れたのは、比べる相手がいたからです
説明を聞いて、やめました。
理由は単純で、そのころにはもうインデックス投資をしていたからです。
積立のシミュレーションを自分で回したことがあったので、返戻率を聞いた瞬間に「これは何%にあたるのか」が想像できました。
もし貯金しか知らなかったら、たぶん「おっ、いい商品やん」と思っていました。
元本より増えて戻ってくる。銀行に置いておくより多い。そう言われたら、断る理由が見つかりません。
商品が悪いのではなく、比べる相手を持っていたかどうかでした。
3. 返戻率102%を、年率に直してみます
ここで計算をしてみます。
返戻率102%とは、払った総額に対して102%が戻ってくるという意味です。100万円払ったら102万円になります。
18年かけて、2%増えるということです。
ただ、年率に直すときに、ひとつ気をつけることがあります。
学資保険は、最初にまとめて預ける商品ではありません。毎月コツコツ払って、最後に受け取ります。最初に払った1万円は18年働きますが、最後に払った1万円は数ヶ月しか働きません。
平均すると、預けている期間は9年ほどです。
だから「18年で2%」を18で割るのも違うし、18年ぶん一括で預けた前提で計算するのも違います。9年で2%増えた、と見るのが実態に近い。
そう考えると、こうなりました。
| 返戻率 | 102% |
| 払い方 | 月払・約18年 |
| 年率にすると | 約0.2% |
もし100万円を最初に一括で入れて、18年後に102万円だったなら、年率は約0.11%です。同じ2%でも、預けた期間が18年か9年かで、年率は変わります。
どちらにしても、18年という時間を預けて年0.2%です。
4. しかも、当時のほうが条件はよかった
これを書くために調べ直しました。
学資保険の返戻率は、生命保険の標準利率に左右されます。その推移がこうです。
| 時期 | 標準利率 |
|---|---|
| 2001年4月〜 | 1.5% |
| 2013年4月〜 | 1.0% |
| 2017年4月〜 | 0.25% |
自分が話を聞いたのは2011年ごろなので、まだ標準利率1.5%の時代です。いまより条件がよかったはずの時期に、返戻率102%でした。
その後さらに引き下げられています。いまはまた上がっているのですが、その話は後半に書きます。
標準利率は金融庁が決める基準の利率で、予定利率は保険会社が保険料を決めるときに使う利率です。標準利率が下がると予定利率も下げられ、返戻率に効いてきます。
5. 重かったのは、利率より資金拘束でした
利率の低さより気になったのが、こちらです。
18年間、そのお金は動かせません。
途中で解約すると、元本を割る場合があると説明されました。実際に解約したわけではないので断言はできませんが、そういう商品だと聞いています。
18年は長いです。その間に何が起きるか分かりません。
年0.2%のために、18年ぶんの自由を渡す。割に合っていないと感じました。
6. 代わりにやったこと
特別なことはしていません。
児童手当を、そのまま貯金していただけです。
家計簿には2011年からの記録があって、児童手当の合計は約670万円でした。それを定期預金に置いていました。
子どもが小さいうちは、教育費もそこまでかかりません。かかった分は生活費に入れていたので、児童手当には手をつけずに済みました。
そして貯まったお金を、ジュニアNISAに入れています。
| 児童手当(2011年〜) | 約670万円 |
| お年玉など | 差額 |
| ジュニアNISAに入れた額 | 720万円 |
その720万円がいまどうなっているかは、子供のNISA、わが家は720万円を3人に投資した話に書きました。
ひとつ気をつけることがあります。720万円は3人分です。学資保険はふつう、子ども1人につき1本入ります。並べるなら1人分に揃えないと不公平です。
うちはジュニアNISAの枠を年80万円ずつ、3年で使いました。1人あたり240万円です。
| 1人あたり | |
|---|---|
| 入れた額 | 240万円 |
| 学資保険なら(返戻率102%) | 約245万円 |
| 実際にやったこと(オルカン) | 約500万円 |
ただし、この差をそのまま学資保険との比較にはできません。500万円になったのは、2021年からの相場が良かったからです。
それに、学資保険なら18年かけて少しずつ払うところを、うちは貯金で貯めてから3年でまとめて入れています。お金を出した時期が違うので、条件が揃っていません。
学資保険のほうは、入った時点で受け取る額が決まっています。増えないかわりに、計算できる。そこは性質が違います。
7. いまの学資保険で、同じ条件を計算してみます
ここまでは15年前の話です。いまはどうなっているのか、調べ直しました。
結論から言うと、学資保険はかなり良くなっています。
2024年からの金利上昇で、各社が予定利率を引き上げました。明治安田生命は2025年4月に1.5%から1.75%へ。約24年ぶりの水準だそうです。日本生命も2025年1月に1.0%に上げています。
返戻率も上がりました。
| 商品 | 返戻率(最高条件) |
|---|---|
| ソニー生命 学資保険Ⅲ型 | 最大127.4% |
| 明治安田生命 つみたて学資 | 最大120.6% |
| ニッセイ学資保険 | 約112% |
| JA共済 こども共済 | 約105% |
| かんぽ生命 はじめのかんぽ | 約99〜100% |
自分が聞いた102%と比べたら、別物です。
ただし、120%を超えているのは「10歳までに払い終えて、年払いにする」という条件です。月々コツコツ払う人の数字ではありません。
月1万円を15年、で揃えます
条件を揃えて計算します。月1万円を15年。払込は180万円です。
| 返戻率 | 15年後 | 増えた額 | 年率にすると |
|---|---|---|---|
| 103% | 185万円 | 5万円 | 約0.40% |
| 105% | 189万円 | 9万円 | 約0.65% |
| 107% | 193万円 | 13万円 | 約0.90% |
| 110% | 198万円 | 18万円 | 約1.27% |
真ん中あたりを取って、返戻率107%で進めます。193万円です。
一方、同じ180万円をこどもNISAでオルカンに入れた場合。年5%で15年だと、265万円になります。
193万円と265万円。差は72万円です。
ここで、比較がずれていました
書きながら気づいたんですが、この比べ方はフェアではありません。
オルカンの年5%は実質リターンで、学資保険の107%は名目だからです。
全世界株の過去実績は、名目で年7%から8%あります。そこから物価上昇分を引いた残りが5%くらい。この記事では、実質のほうの5%を使っています。
同じ5%でも、名目と実質の2つが世の中にあります。積立シミュレーターに出てくる5%は、たいてい名目のほうです。その話は名目リターンと実質リターンに書きました。
学資保険は違います。契約した時点で「180万円払って193万円受け取る」と金額が確定します。物価が上がっても、受け取る額は1円も動きません。
つまり片方だけインフレを引いた状態で並べていました。学資保険のほうも、今のお金に直す必要があります。
今のお金なら、いくら分の価値か

| インフレ 年1% | インフレ 年2% | |
|---|---|---|
| 15年後の物価 | 1.16倍 | 1.35倍 |
| 学資保険(名目193万円) | 166万円 | 143万円 |
| こどもNISA・オルカン | 265万円 | 265万円 |
| 差 | 99万円 | 122万円 |
学資保険の実質年率も出しておきます。
| 実質年率 | |
|---|---|
| インフレ 年1% | −0.10% |
| インフレ 年2% | −1.08% |
どちらの場合も、払い込んだ180万円を下回ります。
名目では13万円増えているのに、買えるものは減っている。増えた実感があるのに、実際には目減りしている状態です。
もちろん、オルカンが15年後にプラスである保証はありません。学資保険は金額が確定します。そこは性質が違うので、どちらが正しいという話ではないです。
ただ、教育費は物価とセットで上がる可能性が高いです。 大学の学費が15年後も今のままとは思えない。だとしたら、名目で固定される商品は、そこについていけません。
8. いまならこどもNISAがあります
2027年1月から、こどもNISAが始まります。
自分が検討した15年前には、こういう選択肢はありませんでした。だから当時の学資保険は、そこまで悪い選択でもなかったと思います。
いまは違います。
長期で貯めるお金なら、元本保証がなくてもインデックスで運用していいと思っています。
理由は、インフレについていける可能性が高いからです。元本保証は、名目の金額を守ってくれるだけで、買えるものの量までは守ってくれません。
制度の中身はジュニアNISAが終わったらどうなる?とジュニアNISAとこどもNISAは併用できる?に書いています。
もう少しはっきり書きます
10年以上かけてお金を用意するなら、保険を使う理由がないと思っています。性質が違うことは十分に理解したうえでの結論です。
もちろん、学資保険には生命保険としての保障機能があります。契約者に万一のことがあれば、以後の保険料を払わなくても学資金は受け取れる。これはインデックス投資にはない仕組みです。
そのうえで今回は、保障ではなく、教育費を長期間かけて用意する「置き場所」として比べています。
長い時間お金を置くときに欲しい条件を並べると、3つになりました。
| 資金が拘束されない | 途中で事情が変わっても動かせる |
| インフレについていける | 物価が上がれば、値段も上がる |
| 長く持つほど期待できる | 時間が味方になる |
この3つを同時に満たすものは、自分の中ではいまのところ株式しか見つかっていません。20年やってきて、そう思っています。
もちろん下がります。15年もあれば、何度か大きく下がるはずです。それは覚悟のうえです。
それでも、最近のインフレを見ていると、値動きのないお金が静かに目減りしていくほうが気になります。ここは最近よく考えることのひとつです。
15年前に戻って、もう一度あの営業の話を聞いたとしても、たぶん同じ判断をします。
9. まとめ
| 検討した時期 | 15年ほど前。営業から勧められて |
| 返戻率 | 102%(年率にすると約0.2%) |
| やめた理由 | 利率より、18年の資金拘束が重かった |
| 代わりにやったこと | 児童手当を貯金 → 720万円をジュニアNISAへ |
| いまなら | こどもNISAがある |
学資保険が悪い商品だとは思っていません。比べる相手を持っていたかどうかの話です。
自分の場合は、たまたま先にインデックス投資をしていたので、返戻率を聞いたときに計算ができました。それだけのことです。
もし今すすめられている商品があるなら、返戻率を年率に直してみてください。 18年で102%なら、年0.2%です。それを見てから決めても遅くありません。
投資は自己責任でお願いします。この記事は特定の金融商品を推奨するものではありません。