マッチング拠出をやめます。会社の掛金を半分だけ残したのは、退職所得控除の年数のためです

確定拠出年金

企業型DCに入るお金には、2つあります。会社が出す掛金と、自分が給料から上乗せする掛金(マッチング拠出)です。

やめるのは、自分の掛金のほうです。月15,000円を、今年中にやめます。

会社の掛金は、半分だけDCに残します。うちの会社は、会社が出すお金を給料で受け取ることもできるので、全額を給料に回すこともできました。ただ、そうするとDCに入る掛金がゼロになります。

掛金がゼロになると、退職所得控除の年数も止まります。だから、半分だけ残しました。

つみたていぬ

節税のために積んできたのに、やめるほうが得なんか。

この記事の目次

  1. これから、こうします
  2. なぜ、やめるのか
  3. そして、拠出の全部を止めることはしません
  4. 3つの選び方を比べました
  5. 全額もらって、iDeCoに月5,000円という手も考えました
  6. 税金を減らしたくて始めたのに、税金は増えます
  7. 戻ってきたお金は、使う側に回したい
  8. これから枠が増える人へ
  9. 確定拠出年金の記事

1. これから、こうします

いまの掛金と、これからの掛金です。

いまこれから
会社の掛金15,013円約7,500円
自分の掛金(マッチング拠出)15,000円0円
合計30,013円約7,500円

自分の掛金はゼロにします。会社の掛金は、半分を前払い退職金として給料で受け取り、残りの半分はDCに入れ続けます。

私の会社は、会社が出すお金を「DCに入れる」か「前払い退職金として給料でもらう」かを選べます。全額か、半分かを選べます。

世間の平均と比べると

自分世間の平均
会社の掛金15,013円11,775円(他の企業年金あり)/16,336円(なし)
自分の掛金(マッチング拠出)15,000円6,197円(同)/10,539円(なし)

※ 企業年金連合会「2024年度企業型確定拠出年金実態調査結果」

会社の掛金は、ほぼ平均どおりです。年収も、特別に高いわけではありません。どこにでもいる40代の会社員です。

平均から外れているのは、自分の上乗せだけ。マッチング拠出は、平均の1.5〜2倍を入れていました。

そもそも、使っている人が多い制度でもありません。マッチング拠出の制度がある会社は50%程度で、その中で実際に使っている人は30%強です。DCの加入者全体で見ると、15%くらいになります。

※ 運営管理機関連絡協議会の資料をもとにした、MUFG資産形成研究所の分析(2026年3月)

平均的な会社員が、上乗せだけ頑張った結果、出口で困っています。


2. なぜ、やめるのか

出口まで計算したら、もう積む段階ではなかったからです。

  • 残高は約2,050万円。掛金をゼロにしても、運用だけで60歳には3,500万円になる見込み
  • 一時金で受け取るときの私の退職所得控除は、1,360万円

計算の中身は『DCは積めるだけ積め』は本当かに書きました。入口の節税より、出口の課税が気になる段階に来た、という話です。

控除の枠は、年数で決まります

DCは、受け取るときに退職所得控除が使えます。ただ、この枠は掛金を出した年数で決まります。

掛金を出した年数控除の枠
10年400万円
15年600万円
20年800万円
25年1,150万円
28年1,360万円
30年1,500万円

20年までは1年あたり40万円、20年を超えると1年あたり70万円ずつ増えます。

私は2011年に始めたので、60歳まで掛金を出し続けても28年です。枠は1,360万円。それに対して、見込みは3,500万円。

お得に受け取れるラインを、とっくに超えています。

超えた分には税金がかかります。受け取り方をどう組み合わせるかは2,000万超の確定拠出年金、どう受け取る?に書きました。

※ 退職所得控除の計算は2026年9月時点の制度です。税制はよく変わります(2026年1月にも、退職金とDC一時金を別々の年に受け取るときのルールが変わりました)。受け取るときは、そのときの制度を必ず確認してください


3. そして、拠出の全部を止めることはしません

はじめは、会社の掛金も全額を前払い退職金で受け取ろうと思っていました。どうせ出口で課税されるなら、給料でもらったほうが早い、と。

調べて、やめました。

掛金を全額止めると、私の場合は退職所得控除の年数がこれ以上増えません。20年を超えると1年あたり70万円ずつ増えるはずの上乗せも、そこで止まってしまいます。

確定拠出年金には、似た名前の期間が2つあります。

期間何に使うか掛金を全額止めると
加入者期間(掛金を出した期間)一時金のときの退職所得控除の年数止まる
通算加入者等期間何歳から受け取れるかの判定止まらない

DCの一時金は、退職所得控除を使って受け取れます。この控除は勤続年数をもとに計算され、DCの場合は掛金を出していた期間が使われます。掛金を出さずに運用だけしていた期間(運用指図者期間)は、この年数に含まれないとされています。

※ 退職所得控除の計算は国税庁のNo.1420 退職金を受け取ったときなどによります。ただし、他の制度から移ってきた期間の扱いや、退職金と受け取る順番・年によって調整が入る場合があります。2026年1月からは、DCの一時金と退職金を別の年に受け取るときの調整ルールも変わりました。自分の条件は、会社や運営管理機関に確認してください

そして退職所得控除は、20年を超えると1年あたり70万円ずつ増えます。

掛金を全額止めた年から、無税で受け取れる枠が、年70万円ずつ増えなくなります。

いまは控除1,360万円に対して、見込みが3,500万円です。控除は、むしろ増やしていかなければ、ならないのです。


4. 3つの選び方を比べました

会社の掛金をどうするかで、3つありました。

選び方毎月DCに入る掛金控除の年数
自分の掛金だけやめる15,013円伸びる
半分を前払い退職金で受け取る約7,500円伸びる
全額を前払い退職金で受け取る0円止まる

私の場合は、会社の掛金が入り続けるかぎり年数も伸びる、という前提で、真ん中を選びました。しょうがないので半分だけ続ける、という感じです。

この前提で合っているかは、手続きの前に、会社と運営管理機関に確認します。

※ 掛金がゼロになったときに加入者の資格や年数の扱いがどうなるかは、会社の規約によります。同じ「半分だけ残す」ができるとも限りません


5. 全額もらって、iDeCoに月5,000円という手も考えました

もうひとつ、考えた方法があります。

会社の掛金は全額を給料でもらう。そのうえで、iDeCoに自分で月5,000円だけ入れる。

こうすると、掛金を出している状態が続くので、控除の年数も伸びます。年数だけを買いにいくやり方です。

ちなみに、マッチング拠出をしている間は、iDeCoには入れません。やめれば入れるようになります。

でも、やめました。

口座を新しく作って、書類を書いて、会社に証明をもらって、毎月の引き落としを管理して、年末調整でまた書いて。

めんどくさそうだったので、やめました。

会社の掛金を半分残せば、同じように年数は伸びます。それで十分でした。


6. 税金を減らしたくて始めたのに、税金は増えます

前払い退職金は、名前に「退職金」と入っていますが、受け取るときは給料です。

なので、こうなります。

  • マッチング拠出の掛金15,000円が所得控除ではなくなる
  • 前払い退職金の分だけ、給料が増える
  • どちらも課税されるので、所得税・住民税が増える。社会保険料も、報酬が増えれば上がる

※ 税率も社会保険料の料率も変わります。金額はいまの制度での目安です。実際の負担は人によって違います

これ以上税金を払いたくなくて、DCを活用してきました。その掛金を減らすと、今度は税金が増えます。

入口で払うか、出口で払うか。どちらかでは払う、ということでした。

では、手取りはいくら増えるのか

ざっくり計算すると、こうなります。

年額
自分の掛金(月15,000円)をやめる分+180,000円
前払い退職金でもらう分(月約7,500円)+90,000円
給料として増える合計+270,000円
所得税・住民税(30%として)−81,000円
社会保険料0円(等級が変わらない見込みのため)
実際に手元に増える分+189,000円(月15,750円ほど)

27万円が自由になるのかと思ったら、手元に残るのは19万円ほどでした。

私の場合、マッチング拠出をやめても標準報酬月額の等級は変わらない見込みなので、社会保険料は増えないと計算しました。報酬月額が増えるのは、前払い退職金の分だけです。

※ 標準報酬月額は、税引き前の報酬を等級に当てはめて決まります(日本年金機構)。マッチング拠出と選択制DCでは社会保険の扱いが違うと説明されることもあるので、自分の会社の制度がどちらなのかは、会社と運営管理機関に確認します

ただ、私の報酬月額は、いまの等級の上限ぎりぎりです。昇給や残業で少し増えて等級が1つ上がると、社会保険料の本人負担が月4,500円ほど増えます。そうなると、手元に増えるのは年13万円台まで下がります。

※ 所得税20%+住民税10%として計算した概算です。昇給・残業・手当で報酬は動くので、正確な額は人によっても年によっても変わります。住民税が上がるのは翌年からです


7. 戻ってきたお金は、使う側に回したい

毎月のお金が、DCから自分の手元に戻ってきます。

何に使うかは、まだ決めていません。

ただ、理想は使う側に回すことです。投資にそのまま入れ直すのではなく、有意義に使いたい。

DCに入れたお金は、60歳まで自分のものになりません。15年、そうやって縛られてきたお金が戻ってくるわけです。それをまた別の箱に入れて、また縛るのも、なんだか違う気がしています。

資産全体を見て、家計簿と相談してから決めます。年に1回、方針書を書くときが、その相談の場です。

お金を使う練習は、VYMの分配金でもやっています(「お金を使う練習」を始めた話VYM分配金の使い道を全部公開)。使うのは下手ですが、これからは使っていく方向に舵を切っていきたいです。


8. これから枠が増える人へ

2026年は、DCの枠が広がる年です。

時期変わること
2026年4月マッチング拠出の「会社の掛金を超えられない」制限が撤廃
2026年12月企業型DCの拠出限度額が月5.5万円から6.2万円へ

※ 出典は厚生労働省の広報資料(iDeCoの拠出限度額、加入可能年齢が引き上げられます)ほか。施行は2026年12月1日で、掛金の引き落としは2027年1月分からです

枠が増えるので、これから気合いを入れて積もうとしている人も多いと思います。

そこで、一度だけ立ち止まってほしいです。

その枠、本当に全部埋める必要がありますか。

DCは60歳まで引き出せません。出口では課税されます。NISAなら、いつでも売れて、出口も無税です。先に埋めるのはNISAで十分ではないでしょうか(iDeCo vs 新NISAに、自分の優先順位を書いています)。

積みすぎて出口で困っている人が、ここにいます。

15年前の自分に会えるなら、「そんなに急いで積まなくていい」と言うと思います。もっとも、当時の自分は掛金の上限も低かったので、これは今の枠を見て言っている話です。


9. 確定拠出年金の記事

まとめると、こうです。

確定拠出年金は、税金まで含めて考えると、とにかく難しい。そして、ややこしい。

出口も、かなりややこしいです。

DC関係の記事は、こちらにまとめています。気になる方は、リンクからどうぞ。

投資は自己責任でお願いします。この記事は特定の金融商品を推奨するものではありません。

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